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淋しい生き物たち ― 少女の欲しかった日 第129話

 次の日は鳩間に渡って初めて曇った。その次の日にはまた抜ける青空が戻った。ふたりは4泊の予約を終えていたが、島に留まっていた。
 別の浜からいくつかの海にも入った。カクレクマノミを見つけ、小ぶりのサメやウミヘビも見、小さなマンタも見た。ハリはシャコガイを捕獲してミツエおばあにプレゼントしたり、彼のアシストなしにこわごわヤシガニをつかみあげたりした。
 彼がかつてこっそり教えてもらった、島人たちが泡盛を寝かせている、観光客が誰も知らない秘密の鍾乳洞をふたりで探し回り、ついに見つけてロープを伝いながら潜入することもできた。彼もハリも間違いなく鳩間を楽しんでいた。
 ハリはひとりで島の中を歩くようにもなった。タツおじいとミツエおばあ、真栄城夫婦や他の島人の家にも上がり込み、歓迎されていたようだ。

「こんにちは!」
「あぁ、こんにちは。見かけん顔だな」
 ハリが挨拶をすると竹ぼうきで庭先の葉を掻き集めていた小太りのおばあが顔を上げ、陰気な声で応答した。
「はい、務おじいのところにお世話になってます」
「ほう。何か用か?」
 深いシワの刻まれた色の濃い顔には何の興味も浮かんでいない。
「いえ、ただ友だちになりたいと思ったんで。友だちになっていただけませんか?」
「友だち? あんたとこのおばあがか?」
 おばあは生まれて初めて耳にする呪文を聞いたような顔になった。
「失礼だったらごめんなさい。ダメですか?」
 おばあはそれには答えず、石垣にほうきを立てかけて当惑気味に言った。
「まぁ縁側にでも座りなさい。お茶ぐらいは出そう」
   IMG_9209.jpg
「お邪魔しますー!」
 おばあは座敷の奥に消え、よく冷えたさんぴん茶のグラスを持ってきてハリの隣に腰を下ろした。
「あんた不思議な子だねぇ」
「いきなり友だちとか失礼なこと言ったからですか?」
「それもあるが、あんたには全く損得がない」と、おばあはハリを見つめる。
「そうなんですか? 結構欲張りだしケチですけど」
「そういう話とは違う。おばあが島の司やってるのは知って来たのか?」
「ごめんなさい。全然存じないままお邪魔してしまいました。すごく失礼ですよね」
「別に司は役人や大臣と違う。失礼も何もないが、あんたサーダカウマリなんかは知らんな?」
 生まれつき非常に霊感が強い人のことだとおばあは簡単に説明する。沖縄の女性には多いらしいが、マツおばあもその1人なのだった。

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、実在のものとは一切無関係です。】
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コメント

淡々と幸せな日常が続いて欲しかった
サーダカウマリはオーダキリカを連想させる
帰る予定を立てず 公認ガイドもつけず
私はどれくらいこの島に居られるでしょう?
一人では何にも出来ない気がしてきました
連れていって下さい


小説の中の鳩間島はあくまで架空の島ですから、
誰でもいくらでもいられるのです。

ま、現実的な話をすれば、ぼくは1週間が限度かな?
酒で身体がボロボロになってしまうので。

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