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淋しい生き物たち - 少女の欲しかった日 第13話

 その日、彼は彼の貧乏旅行には著しくそぐわなかったが、由布院と福岡を結ぶ有名な特急に乗って久留米に着いた。基本的に各駅停車で移動することを何となく自らに課していたが、極めて運行本数の少ない時刻表の中で、この特急を逃せば以後の段取りが難しくなるからだった。
 久留米に滞在した彼は大宰府まで足を延ばした。翌日、長崎に入って島原、雲仙にも立ち寄り、普賢岳が噴火した当時の状況を知ったり、いくつかの小さな温泉に入ったりした。次の日に予約を入れていた軍艦島(端島)ツアーの船が欠航したので、修学旅行以来の原爆資料館や浦上の天主堂を30年ぶりに訪ねもした。そうした見聞はそれぞれの場所でそれぞれに何がしかの感懐を遺し、彼が簡単に書き続けてきた旅の日記に記録されていったが、とりわけ深く記憶に遺る時間とは言えなかった。それが訪れた土地やそこで出会ったものごとのせいだったのか、彼が旅日記でここまでひと言も触れることのなかった事象のせいなのかはよくわからない。「はり」はどこにも現れなかった。彼の旅はいつの間にか10日を超えている。

 彼は五島列島に渡った。フェリーは午前10時前に上五島の有川港に着いた。港は彼が好んで訪れる小さな八重山の島々はもちろんのこと、かつて渡った利尻、礼文のターミナルよりもずっと大きな構えで、バスやタクシーがたくさん並んでいた。
 ネットで評判のよかったホテルを数日間予約することができていたので、まずはそこを訪ねた。荷物を預け、もしかしたらこの界隈の中心人物かもしれないと思わせる器の大きそうな女将にお薦めの教会はどこかと尋ねた。
「それはやっぱり世界遺産の頭ケ島(かしらがしま)天主堂でしょう」
「ですよね。でも、頭ケ島の見学は事前に申請が必要だと聞いたんですけど」
 ここ数日、また少女が姿を見せないことが気になりはしたが、約束めいたものを取り交わしたことが彼にある種の安定を与えていたのか、その分、ウェブ情報を収集するゆとりもできていた。五島列島は大きく上五島と下五島に分けられるが、上五島だけでも29のキリスト教会があり、下五島を合わせれば約50に上る。そのうちのいくつかは世界遺産に指定されていて、施設や信者を保護するために観光客に対しては規制が敷かれているのだった。
「あぁ、そういうことになってますけど、お車ですか?」
「いえ、自転車を借りて行くつもりですけど」
「おひとりですよね。それなら飛込みで大丈夫ですよ」
 そう女将が請け負い、丁寧に道筋を説明したので、彼は安心して自転車を借りに行き、10時過ぎには電動自転車にまたがって走り始めていた。島の道路は広々として交通量も極めて少なく、快適に走ることができた。かなりアップダウンは激しかったが、それでも空気が澄んで汗はかかない。この時期に、息が白く見えることさえあった。
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 頭ケ島天主堂は遠かった。45分走り続け、ようやく「天主堂左」という表示のある三差路に差し掛かったときだった。工事をしている様子もないのに誘導灯を持った人が2人立っていて、通り過ぎようとしたが制止させられた。何ごとなんだ?
「天主堂へ行かれますか?」と訊かれ、天主堂に行きますと答えた。
「〇〇ツアーのお客さんですか?」
「いえ、個人です」
「それじゃそちらの道を%&'$#!\+&・・・・」
 うまく聞き取ることができなかったが、指し示された道は天主堂とは反対の方向で、しかも急な上り坂だった。わけのわからないままに登っていくと上五島空港があった。八重山の与那国島や波照間島にあるような小さな小さな空港で、その玄関前にも人が立っている。
「自転車を停めて中に入ってください」
「車でお送りしますのでしばらく展示資料でも見て待っていてください」
「今日は大型船が入港して団体客が多いものでね」
 態度が丁寧だったので威圧感は感じなかったが、全く要領を得ない説明でもあった。彼の表情を読んで加えられた説明も総合してみると、保護のために天主堂には一度に45人しか行くことができない決まりになっているがマイカーなどは全面禁止で、全ての見学者はこの空港から出る送迎バスに乗って天主堂に赴くことになっている。申請がなければバスに乗ることはできないのだが、今日は大型船が入港して団体客が多く、電動車も走らせているので、折角来てもらったのだから団体客の一員ということにして、電動車で天主堂まで送る。大体そのような、彼にとってはありがたく親切な話だったようだ。

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、実在のものとは一切無関係です。】

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淋しい生き物たち - 少女の欲しかった日 第12話

 彼も立ち尽くした。けれども彼にもう躊躇はなかった。やはり後ろ姿で、しかも下ろしていた髪はひとつに束ねられていたが、あの少女であることにもう疑いの余地はない。打吹公園の猿山のときとは違い、「捕捉」などという意識もなかった。ただ心を鎮めながら近づいていき、驚かせないように静かに声をかけようとした。滝の音に掻き消されないよう、それなりの音量は必要だったのだが。
「あの・・・・あなたはぼくが誰なのかわかってるんですよね?」
 猶予を与える意図で間をとったつもりだったが、少女はまるで予定された調和を踏むかのように彼の言葉が終わるまで待ち、それからゆっくりと、ポニーテールを僅かに揺らしながら振り向いた。
 初めて相対する少女の顔は、耳も鼻も目も唇も、眉も額も頬も顎も、髪の1本1本に至るまで、名だたる工芸家や職人たちが手を尽くしてたった今仕上げたばかりのように見えた。まるで至高の芸術品か、もしかしたら何かの冗談のように美しかった。ふと、よく知っている誰かにどこかが似ているような気はしたが、思い過ごしだろう。これほどまでに無欠の造形物を見たことはなかった。彼はここに至るまでのあらゆる経緯を全て忘れ、その造形にただ見とれて溜息をついた。この美しさは通常の価値観を完全に超越している。あるいは逸脱している。
 そこに漆黒の宇宙が存在しているかのような少女の瞳が彼を捉えていたが、やがて恐ろしくゆっくりと、微かに片眉を上げ、彼に再びの発言を促した。彼が最初にかけた言葉をうまく聞き取ることができなかったようだ。促されて彼は口を開く。
「ぼくはあなたのことを全く知らないけど、あなたはぼくが誰なのか知ってるんですよね?」
 彼は錆びついてしまったような喉から掠れた声を絞り出した。少女は僅かに、けれども確信に満ちて明確に、そしてやはり恐ろしくゆっくりと、首を縦に振った。瞳は彼を捉えたままで、下ろした首を元に戻すことはしない。
      IMG_4202_20200428094049c66.jpg
「それじゃ、あなたは」と言いかけた彼を、少女は首を元の位置まで戻すことで遮った。
 そして唇を開いた。
「たくさん訊きたいか?」
 仲間から取り残され、たったひとりで鳴いている秋の虫のような声だった。
 もちろん、訊きたいことは山ほどあった。あなたは何故ぼくを知っているのか? 何故ぼくを追いかけているのか? どんな風に移動しているのか? ぼくに何を求めているのか? 何故3日の間姿を見せなかったのか? 質問事項は脈絡もなくいくらでも浮かんだし、名前は? 歳は? 住所は? といった人定質問も。
 そして何より、あなたは一体何者なんだ?
「できれば訊きたいことはたくさんあります」と彼は乱れて暴れる心を抑えつけ、できるだけ静かに答えて少女の返答を待った。
 頭がくらくらしそうな沈黙が続いたあと、もう一度秋の虫が鳴いた。
「今はまだ」
 少女のはかなげな声音、短いフレーズは滝の音に掻き消されそうだったが、その拒否はこれ以上のない、絶対的な拒否だった。対照的に彼の声は大きくなる。
「それじゃ、名前だけでも」
 注視していなかったら間違いなく見逃すほど小さく少女は眉を顰め、その眉を戻してから答えた。
「はり」
 滝の音が邪魔をしていたが、そう聞こえた。針という姓なのだろうか。それなら1人だけそんな人を知っている。それともあまり耳慣れないが、水晶やガラスを意味する玻璃という名なのだろうか。後者だとしたら少女の透明感には打ってつけだと思ったが、それ以上質問を重ねることはできなかった。少女が拒んでいた。
「それじゃ、またどこかで」
 彼は自分でも間の抜けたことを言ってしまったと後悔したが、少女はそれには反応することなく、彼の傍らを擦り抜けて川沿いの遊歩道をゆっくりと歩き去った。すれ違ったとき、微かに少女の香りが漂ったような気がした。それは女性とすれ違ったときによく経験する種類の芳香ではなく、いつかどこかで匂ったことのある、懐かしい香りだったような気がした。
 遠ざかる少女の後ろ姿を見つめながら、追っても意味はないんだろうなと彼は思った。宇宙の普遍の定理のように、少女が彼を支配していた。
「でも、約束はしたからね」
 彼が幾分自嘲的に呟いたとき、少女の姿は林の向こうに消えていった。 

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、実在のものとは一切無関係です。】

幸せな作家

絶賛連載中(ウソ)の『淋しい生き物たち-少女の欲しかった日』を、
全文配信した人たちの中で、最初に読了された方からの感想が届いた。

もちろんそれは
一定の社会規範や社交辞令やいろんなものをてんこ盛りにした結果だとは思うけど、
ちょっと衝撃を受けるほどの長文で、
作者がかゆいかどうかもわかっていないところにまで手の届く、
とんでもない書評だった。

謹んでここに全文を紹介したい、
ところだけど、
少々ネタバレもありますので、
極めて残念ですが、
連載が終わるまで我慢します。

実は書評子はよくここにも登場する「旅の達人」で、
ぼくの旅のスペシャルアドバイザリースタッフ、
いやパースン。
他にそんな人はいない。

飲み屋で知り合った彼が極力客観的に書いたという書評に、
あり余る友情と、類まれなるやさしさと、知的に遊ぶ人の豊かさを感じた。

こんなものを書かれてしまったら小市民は舞い上がってしまい、
まだの人は今からでも読んだ方がいいよ、なんて。

達人、心からの感謝を。

それから、毎日連載の盛り上げ役のようなコメントをくれるひでさんとか、
甘口辛口とりあわせて鋭いメールを届けてくれる浜路さんとか、
そのほかにも多分3~4人くらい、サイレントリーダーがいる。

どの関わり方もそれぞれに、ホントにうれしい。
ありがとうございます。

本来報われるべき筋でない行為に、
あなたは報いを与えてくれています。
本当にありがとう!




淋しい生き物たち - 少女の欲しかった日 第11話

 次の日は一転してきれいに晴れ渡った。雨に洗われた由布岳の緑を見ながら、あちこちに立ち上る湯煙を眺めながら、駅までの戻り道は気分が浮き立つほど快かったので、その分、駅近くの雑踏に戻っていくのは気が重かった。
 湯布院から日田行きの各停に乗って天ヶ瀬へ向かった。そこには別府、湯布院と並んで三大名湯と言われる温泉が湧いており、趣きのある温泉街になっているということを、昨夜ウェブで知ったのだ。由布院から列車に乗って1時間ほどの旅だったが、途中ひとつひとつの駅舎に味わいがあり、車窓の景色は天ヶ瀬に近づくほど渓谷美を増し、彼の心を惹いて止まない清流が顔を覗かせて、未知の温泉町への期待が高まっていった。

 天ヶ瀬の駅はここにあの有名な特急が停まるということが信じられないほど小さかったし、降りたのは彼ひとりだけだった。駅舎にあった案内所に行くと、きれいな女性スタッフが地図を広げ、まず左手に歩いて滝を見てから逆方向に川沿いを歩けば川に面した露天風呂が点在していると言う。夕方から開くところもあるが、この時間でも3つの湯に入ることができると教える彼女の表情からは、この町を愛している人なのだということが伝わってきて快かった。
 駅舎を出ると国道が走っていて、その向こうに川は見えたが、建物も疎らなただのうらぶれた駅前だった。三大名湯と言われても著名な別府や湯布院とは比べようもなかったが、そういう場所の方が彼の好みには合っていた。
 彼は案内所の女性に好感を持ったけれど、彼女の教えに逆らって滝は後に回し、先に川湯を味わうことにした。右手に歩いて行くと、少なからずくすんだ大きめの宿泊施設が軒を連ねていた。かつてはそれなりに栄えた温泉街だったのだろうし、地元の人たちにとってこの現状は決して喜ぶべきことではなかったのだろうが、彼には今の天ヶ瀬温泉が好ましかった。歩いているのは彼だけだった。
 すぐ目の前の釣り人と言葉を交わすことができそうな、石で囲われた河原の小さな露天風呂は入浴者の都合などほとんど無視して開放感にあふれていた。彼は薬師湯、神田湯とはしごをする。もちろん、貸し切り温泉記録は続いていた。
 もう少し足を延ばしてみようと、汗を拭きながら向こうに見える橋のたもとまで歩いて行くと、近くの民家から高齢の女性が出てきて彼に声をかけた。
「何ばしよっと?」
「川湯に入りに来たんです。凄くいいところですね」
 老婆は彼の言葉を聞き流しながら、石鹸を持っているかと何度も訊いた。田舎町の老婆は大抵やさしい。
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 駅前まで戻り、最後に入った駅前温泉はこれまでのふたつと比べれば入浴者を気遣った施設で、粗末だが瓦ぶきを模した屋根の建物もあり、広い湯船はやはり川面に接していたが、対岸には木々が鬱蒼と茂っていて建物はなく、混浴ではあるものの外からの視線を気にする必要はなかった。当然貸し切り記録は続くものと思っていたが、浴槽には彼と同年配の男性がひとり浸かっていた。海坊主のようにつるつるの頭部が見えた。
 声をかけると岩国の人で、かなりの温泉好きらしく、全国を回っているが中でも天ヶ瀬が気に入って通っているのだと言った。別府より湯布院より絶対にこっちがいいと意気投合し、由布院では唯一下ん湯だとまた共鳴し合い、昨年訪ねた草津が気に入ったという話をすると、大きく頷きながら、「あそこは回り切れなかったのでまた行きたい」と即答した。人の群がる温泉施設の話ではない。日本一有名と言っていいかもしれない草津温泉には、ほとんどの観光客が見向きもしない、小さくて素っ気ない、けれども詩情溢れる無料の外湯が数えきれないほどあるのだ。彼ももちろん回りきることなどできていなかったが、草津の共同浴場の味わいを誰かと無条件に共有できたことが嬉しかった。
 問われて彼が照れながら当てのない旅をしていること吐露すると、海坊主は薩摩硫黄島と天草を薦めた。
 二桁を超えていた温泉の連続貸し切り記録は海坊主によって断ち切られたが、それに文句は全くなかった。

 今日は暑かった。川湯めぐりで喉も乾ききっていたし、近くにあった粗末な食堂に入って、ビールを注文し、簡単な食事をした。
「ざる蕎麦できますか?」
「申し訳なかばってん、うちはうどん屋たい」
「じゃ、ざるうどんは?」
「なかよぉ」
「冷麺は?」
「ないもんばっかり言うとじゃねぇ」
 飾り気のない女将さんとの会話が楽しかった。
 天ヶ瀬の最後に、案内所の美女が推していた桜滝を訪ねた。国道を山側に逸れて短いトンネルをくぐると簡素な公園と四阿(あずまや)があり、その先の遊歩道を川沿いに奥へ進んでいくと、流れ落ちる水の音が聞こえてきて、予想外に立派な滝の姿が林の間に見え隠れした。彼の顔がやんわりと緩み始める。彼は何より水が好きだったのだ。おまけに人の影など一切ない。
 桜滝の全貌を目指して自然に急ぎ足になり、そこまで辿り着いたとき、緩んでいた彼の表情は急に強張った。
 滝壺の前に、4日ぶりに姿を現わした、セーラー服の少女が立ち尽くしていたからだ。

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、実在のものとは一切無関係です。】

淋しい生き物たち - 少女の欲しかった日 第10話

 翌朝、5時過ぎに目が覚めてしまい、それから起きているのか寝ているのか曖昧な状態で7時過ぎまでベッドにいた。何か大切な夢を見たような感覚があったのだが、どんな夢だったのか思い出すことはできなかった。けれどもその思い出せない夢が何故かこびりついたように気になった。少女の夢だったのだろうかと考えてみたが、やはり思い出すことはできない。
 空には重い雲が垂れ込めている。ホテルのレストランで朝食を摂っている間に本降りになった。昨夜、彼はそれほど知名度が上がる前から一度行ってみたいと思っていた湯布院を訪ねることに決めていた。

 湯布院の駅は風情もなく新しかった。多くの人が降りた。彼は案内所に寄ってから傘を差して金鱗湖への道を歩いたが、その道はこれまでに滞在した町のどこよりも混雑していた。大半は東洋系の外国人だったが欧米人も目につく。道沿いには若い女性がお決まりの歓声を挙げるような洒落た店や凝った店がこれでもかというほど並んでいたが、彼には全く興味がなかったし、彼はここでは見事に場違いだった。観光化の波に洗われて情緒がなくなっているとは聞いていたが、ずっと訪ねてみたいと思っていた湯布院はこんなところだったのか。執拗な雨空も災いしてか、彼は大きな失望を感じていた。
 無毒ではあるが目障りなクラゲが大発生している海を泳ぐように、彼は行き交う人をかわしながら金鱗湖まで歩いた。小川には彼の好きな梅花藻(ばいかも)の花がちらほら咲いていたが、清流と呼べるほどの流れではなかったし、金鱗湖にしても特に魅力のあるものには見えなかった。
 いくつかの温泉施設があったが、九州に住む旅好きの友人から聞いていた「下ん湯(したんゆ)」を探した。少し苦労したが、金鱗湖を左手に少し回りこんだところ、人波が大きな斧で断ち切られたように途切れた辺りに茅葺屋根の古民家のような建物があった。入ってみると脱衣場の仕切りもなく、目の前にふたつの浴槽が前後してあった。外側は露天で、太い梁や壁、脱衣棚など全て古い木肌を見せている屋内からそちらに目をやれば、小さな名画座のそれよりも大きなスクリーンのように壁が切り取られていて、そこには過剰に手の入っていない庭と森が映されている。電灯もなく暗い手前の浴槽の微かにゆらいだ湯面にはそのスクリーンがゆらゆらと投影されている。とうの昔に忘れていた子守唄を聞かされるような空間だった。先ほどまでの浮ついた喧噪が嘘のように消えている。
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 残念ながらここがどれほど快適な空間であったとしても女性には入ることが憚られるだろう。男性に生まれてよかったと思いながら彼は湯船に身を委ねる。湯はぬるめで、コンパクトではあるのだが絶景としか言えない眺めに溶け込みながら、彼はこれならいつまででも入っていられると思った。
 露天の浴槽で小雨を心地よく受け、屋内の浴槽からスクリーンを眺め、どれほどの間、そうしていただろうか。韓国人と思しき若い女性が入り口から浴室を覗き込み、彼の裸体を見て小さな悲鳴とともに逃げて行ったのを潮に、ようやく彼は引き上げることにした。別府で入ったいくつかの温泉から貸し切り状態が続いている。
 入るときに料金を払うのを忘れていたので外に出て料金箱を探したら、酷く錆びついた太めの鉄パイプのような、高さ1メートル余りの棒が立っていた。頭の方にコインを入れるための穴が切ってあり、棒の後ろに「1人につき200円」という、これもずいぶん年を経たような札が掲げられている。200円の至福。
 しかしその棒はどう見ても料金が回収できそうなつくりには見えなかったし、コインを落としても何の音も返ってこなかった。

 予約していた宿には駅から30分以上歩かなければならなかったが、雑踏を離れ、県道から外れると同じ湯布院とは思えないほど静かな佇まいの村に入り、遠くに由布岳を望みながらこれが本来の湯布院なのだろうと思える野道を彼は辿った。森を縫いながらの上り坂は少々きつかったが、雨さえしのついていなければ極上のハイキングコースと言ってよい。湯布院の宿はレートが高く、料金を優先して選択した宿だったが、この「裏由布院」と出会えたことで、いい選択だったと彼は思った。宿の温泉に2度入ったが、ここでも2度とも貸し切りだった。
 帰る日の決まっていない旅は1週間を経過した。

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、実在のものとは一切無関係です。】

ふるさと消失

そろそろメダカたちを放流してもいいころかな?

ホントならそーこーやプリンちゃんがいるとき、
彼らに放流させてあげたかったのに、
それも今は叶わない。

メダカのエサになる水の中の微生物たちは増えて来たかな?
って、見に行ったら、
ええっ!
こんなことになってる!

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うそー!
つい先日までこうだったよ。

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そーこーやプリンちゃんのお気に入りの場所でもあったのに。
                 
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これもコロナのせい?
この連休には気温も上がるって言ってたし、
子どもたちが集まらないように給水を止めちゃった?

うーん、メダカたちの故郷がなくなってしまった。
どうしようかな。

って、放流したあとじゃなくてよかったか。

ぼくが放流したメダカを子どもたちが追いかけてるシーン、
早く見たいなぁ・・・・。

淋しい生き物たち - 少女の欲しかった日 第9話

 翌朝、誇り高きホテル人の、微かでやわらかい笑顔と丁重な言葉に見送られてホテルを出た。それにしても彼女の勤務時間は長すぎるのではないだろうか。
 下関から門司まで関門トンネルを歩いて渡ったのは一昨年だったが、当然のことながら列車で走れば束の間だった。
 山陰線が京都から幡生までだと知ったのと同じときに、山陽線が神戸から門司までだということも彼は知ったのだが、幡生と門司の間に下関が挟まれていて3つの駅は並んでいる。彼の勝手な感覚からすれば山陰線も山陽線も起結の収まりが少々悪いように思える。すぐに小倉に着いた。
 小倉から中津を経て別府へ向かった。別府の駅前は彼の記憶を全く呼び覚ますことがなかった。前に訪れたのは30年も昔、高校生のときだったのだから記憶が薄れていて当然かもしれないし、その間に駅前がずいぶん変わってしまったのかもしれないし、修学旅行はバスの旅だったので、そもそも駅前など通らなかったのかもしれない。そこには今、どんよりと滞ったような空気が漂っている。
 端の方のスペースにセーラー服が見えた。けれどもそれは男子学生たちとともに整列している高校生の団体だった。
 今朝予約を入れた、駅から徒歩1分という宿に荷物を預けに行くと看板に偽りはなく、本当に1分で到着したが、これ以上古くはできないというほど古いビジネスホテルだった。フロントには「只今館内巡回中」の立て札が立っていたので、荷物を預けるのは諦めて観光案内所に行き、付近図をもらって地獄めぐりのバスツアーを予約した。残りがたった2席だったらしく、男性スタッフが「ホームスティール並みのラッキーですよ。きっといい旅になります」と自分が何かのくじにでも当選したかのような表情で言った。
 地獄めぐりのバスはフロントの屋根の辺りに鬼の角を生やしていた。
 いくつかの場所で彼は期待通り、修学旅行のとき目にした風景と懐かしく再会したが、それぞれの地獄に添えられた鬼や大きな釜の安っぽい造り物、それに温熱を利用して飼育されているワニだのピラニアだの、彼には子ども騙しとしか思えない付帯設備が彼の興趣にいちいち水をかけた。その昔、青臭い高校生だった彼はまだ子どもだったから、まんまと騙されていたわけだ。彼は少しばかり失望しながら地獄めぐりを終えた。
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 夕方、宿に戻って最上階の展望温泉に入った。もちろんレトロと言っていいほどの古い浴室だったが、確かに高崎山を背景に市街が一望できた。
 別府温泉は源泉の湯温が47度と高く、その昔は熱くて入れないと観光客から苦情が殺到したそうだが、一方地元民は47度でないと入った気にならないと譲らない。そこであつ湯とぬる湯、外湯と内湯の併設が行われるようになったのだと、ツアーのバスガイドが言っていた。宿の温泉は当然ぬる湯だったが、蛇口の湯はとんでもなく熱く、水の蛇口をひねってもなかなかぬるくならなかった。  
ありがたいことに貸し切り状態だったのでゆっくり浸かったあと、彼は食事を摂りに出かけた。駅前にはフランチャイズか観光客向けの派手な看板しか見当たらなかったので、古い市場に近いひっそりとした食事処を見つけてそこに入った。客もほとんどおらず、静かな店内に調理場の中の老夫婦と若夫婦のさりげない会話が漏れ聞こえてくる。彼の好きな九州方言のやりとりに家族仲のよさがにじみ出ていて、彼はずっと以前に観た小津安二郎の映画を思い起こしていた。
 投宿したホテルには同じく駅から数分の範囲にふたつの姉妹ホテルがあり、そのホテルの温泉にも無料で入ることができるという話だった。食事を終えて付近図を見ながらどちらにしようかと思案する。それほど温泉に貪欲な方ではなかったのでどちらか一方でいいと思っていたのだが西の国は日が長く、宵闇に急かされることがなかったので結局どちらのホテルの温泉にも足を運ぶことになった。ふたつとも貸し切りだった。
 それにしてもこのふたつのホテルでは、彼が宿の名前を言っただけで何を確認されることもなく招き入れられ、浴場の場所を教えられた。都会なら悪いことを考える人間もいるかもしれない。都会から来る観光客だって怪しいものだが、豊かな湯量を誇る別府では温泉になど誰がどう入ったところでそう頓着すべきことではないのかもしれない。

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、実在のものとは一切無関係です。】


淋しい生き物たち - 少女の欲しかった日 第8話

 翌朝は早くにアラームをセットしていた。下関まで行くつもりだったのだが、単線である山陰線は不便なせいか、アプリを使って路線検索をするとすぐに便の良い山陽線に乗せようとする。京都駅を出るとき、山陰線をキープしようと決めたのはただの気まぐれか思いつきで、固い決意でも何でもなかったのだが、単線をコトコトと島根まで乗り継いできて、今さら山陽線に乗るのはおもしろくなかった。もっと旅や鉄道の知識があれば難しいことではなかったのかもしれないが、彼が苦労して見つけたのは早朝に浜田を発ち、益田、長門を経由して下関に至る方法だったのだ。
 下関には昼過ぎに着き、山陰線を走破したことに小さな満足感を覚えた。けれども彼は、山陰本線が京都駅から、下関のひとつ手前の幡生(はたぶ)駅までであったことをまだ知らなかったのだ。もちろんそれでも彼が山陰線を制覇したことに変わりはなかったのだが、あとになってそのことを知った彼は、それなら幡生駅で降りてみたかったし、せめて車中からでも感慨を込めて駅の様子を眺めておきたかったと、悔しく思ったのだった。
 下関には何度か来たことがあり、ごく近い過去にも訪れていたので、行くべきところもなかった。けれども彼はのんびりと港の方へ歩いてみる。人の流れのない方へ、人の気配のない方へ、当てもなくただ歩き続けた。歩けば歩くほど、自分が何を求めて歩き続けているのかということを、彼は認めざるを得なくなっていく。
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 夕方になり、古くくたびれたビジネスホテルに入った。フロントでは男性か女性かにわかに判断しがたいベテランスタッフが彼を迎えた。声を聞いても性別の判断はつかなかった。安宿にふさわしい親しみも愛想もなかったが、如何にもホテル人らしく白いシャツにネクタイを結び、黒のベストをまとったその人に彼は好感を抱いた。安宿にありながら、誇り高い、という言葉がぴったりだと思えたからだ。
 駅前の大衆食堂で夕食を食べた。彼は旅先で大衆食堂に入るのが好きだったので、駅を出たときに見つけたこの店に入ろうと決めていた。間違いはなかった。地元の気のいい年寄りたちが居酒屋代わりに愛用している店、自分の形を持っている旅人だけが立ち寄る店、それらの客たちを手際よく心地よくさばいているひと昔もふた昔も前の看板娘。申し分はなかった。
 ほろ酔いで宿に戻ると、あの性別不詳のスタッフが、「お帰りなさいませ」と微かな笑みを浮かべて出迎え、そのやわらかさからようやく女性だということがわかった。彼女からはやはり誇り高いホテル人の空気を感じた。
 悪くなかった。下関の夜も悪くはなかったのだが、決定的に欠け落ちているものがあった。彼の帰る日の決まっていない旅は4日目を迎えていたが、下関にもあの少女はいなかった。今日初めて、あの少女が姿を現わさなかったのだ。    

 昨夜、彼は眠れないままにあれこれ考えを巡らせていた。本州の端までやって来た。当然関門海峡を渡ることになるが、そこから福岡経由で西海岸を南下して行くか、東海岸を宮崎へ向かってみるか、あるいは・・・・。下関にもう一泊してもいいかと考え、彼は慌ててその閃きを打ち消した。この下関に訪ねるべき場所があるわけでもないのに、どうして留まる必要があるのか。一体何を待つというのか。自分は長年の夢を叶えるためにただ西へ南へ向かって流れる旅に出たのだ。他に目的はない。なかったはずなのに、まるで平和なアヒルの家族に醜い白鳥の子が生まれ落ちたみたいに、何か異質なものが紛れ込んで来て、彼の簡潔性に満ちた旅を掻き回し始めている。自分の思うままに、好き勝手に流れていたいのに、別の何かの要素に支配されるなど真っ平だ。彼は断ち切るように、別府に行ってみようと決めた。高校の修学旅行で地獄めぐりをしたことが印象に残っていた。

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、実在のものとは一切無関係です。】

淋しい生き物たち - 少女の欲しかった日 第7話

 もしかしたらさっきの萌えキャラたちに触発されていたのだろうか、彼の中には「やっぱり来たか」という思いが浮かんだ。もちろん不気味にも感じた。まるで古い大きな屋敷の中で座敷童にでも出くわしたみたいに。
 またも後ろ姿だった。けれども距離が近かった。それはもうあのカウンターの少女だとはっきりわかった。偶然とか思い過ごしとかそういう話ではない。形而上学的な話か超常現象か、その方面のことに彼は興味がなかったので説明などつけようはなかったが、明らかに少女は自分を追いかけてきている。追っているかどうかはわからないが、少なくとも何かの意図を持って自分と場を共有しようとしている。
 彼は肌が少し粟立つのを覚えながら、少女の後ろ姿を凝視していた。何故か彼女がいきなり振り返るようなことはないと確信していた。あの居酒屋で初めて見かけたときと同じように、この世の誰とのコンタクトも求めていないような、あるいはできないような、孤高の空気を少女が放っていたからだ。まるで漆黒の闇に浮かぶ細い月のように。
 見つめながら彼は迷っていた。10歩も進めば声をかけることのできるレンジに入る。唐突に子どものころ、蝶を追いかけて山に入ったときの感覚が蘇った。竿を継いで長く伸ばした網でも到底届くことのない、高い空を飛び回っていたアサギマダラがふいに舞い降りてきて低木にとまり、翅(はね)を広げて静止する。すぐに飛び立ちはしないということだ。呼吸を止めてにじり寄り、射程に入れば捕獲することができる。
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 けれどもその採集という行為は目的も過程も結果も全てがドミノ倒しのようにシンプルだ。今は違う。目の前の少女を捕捉すべきなのかすべきでないのか、捕捉したいのかしたくないのか、捕捉したとしてその結果はどう転ぶのか、全てが波に翻弄される藻屑のように不確かなのだ。
 1分か、あるいは5分だっただろうか、彼はまんじりともせずに少女を見つめていた。少女は動かない。彼も動かない。
 宇宙全体が時を止めたかのように閉じられた空白を破って、しかし彼は少女にまた背中を向け、来た道を引き返し始める。
 何が起こっているのか全くわからなかったが、少女が意図を持って場を共有しようとしているのなら、ここで捕捉しなくても必ず次の機会があるはずだ。それならファーストコンタクトは今ではない。自分にはまだ準備が整っていない。そう思った。
 彼は、この事態をうまく受け止めることができずにいたし、まだ少女と接触するのが怖かったのだ。

 倉吉駅に戻って快速に乗り、米子を経由して浜田に着いた。浜田の町は予想通りかそれ以上に、駅前も目抜き通りもいっそ素敵に思えるほど寂れていた。安宿は駅からずいぶん遠かったが、洗濯機も乾燥機も無料だったので洗濯を済ませ、また長い距離を歩いて駅前商店街まで戻り、観光客が選ばないような店に入って名物ののどぐろ飯を食べた。安くはなかったが、とんでもなく美味だった。コンビニで買い物をし、長い道を歩いて宿に戻った。それだけだった。
 寂れた浜田の町の雰囲気は彼には好ましかったけれど、浜田には少女は現れなかった。

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、実在のものとは一切無関係です。】

淋しい生き物たち - 少女の欲しかった日 第6話

 夕方遅く、倉吉に着いた。彼は倉吉には初めて降り立ったが、それなりに都会なのだろうと勝手に思い描いていたイメージからすればここも慎ましやかな駅だった。よそよそしさのない分、足は踏み入れやすいのだが、山陰の町はどこも水やりを忘れた鉢植えのようだ。
ずっと昔に、山陽、山陰という呼称が問題視されたことがあった。大ざっぱに言えば「陰」はネガティブな印象を喚起するのでよろしくないという要旨で、「北陽地方」「北中国地方」などさまざまな新しい呼称が提案されたが、結局どれも実ることはなく、いつの間にか「陰」を払拭しようという動きも立ち消えてしまったように思う。それが諦めからではなく、開き直りから来るものだったらいいのだがと彼は思った。
 鳥取からの移動中にネットで予約した駅近の安宿に入り、趣きのある飲み屋を模索したが見当たらず、目に付いた適当な居酒屋で夕食を摂った。店に入るとき、一抹の不安のような期待のような、模糊とした思いがよぎったのだが、この店の客席は障子やシェイドで簡単な個室風に仕切られていて、彼は人目に触れることのないテーブルにひとりでつくことになった。もちろんそんな個室の障子をセーラー服の少女がいきなり開けて入ってくることはなかった。

 次の日、朝から彼は観光案内所で薦められた白壁土蔵群をバスで訪ねた。そこには赤瓦に白い漆喰の壁といった江戸時代の建物が並んでいた。けれどもそうした土蔵に現代的な住居が隣り合わせていたりして、それも自然な時の流れには違いないのだろうが、勝手な観光客である彼はそんな同居に少し物足りなさを感じた。
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 この町にはそこここに、カウンターの少女を見かけたときに想起した萌えキャラの等身大パネルが立っていた。由緒ある酒蔵の格子戸の向こう側で、地元飯を売りにした飲食店の幟(のぼり)の隣で、長い年月あまり姿を変えることがなかったに違いない雑貨店兼土産物店の商品の間で、奔放に、おしとやかに、ミステリアスに、艶やかに、萌えキャラたちが微笑みを投げかけている。ミスマッチとも思えたが、このパネルたちはアニメの登場人物らしく、音楽で鄙びた町を活性化させようと立ち上がったガールズバンドのメンバーだった。倉吉市の観光大使でもあった。倉吉も決して活気に満ちているようには思えなかったし、その町興しのために町興しアニメとコラボするというのはなかなか今風でよくできた話だと思った。そして、ここにならあのセーラー服の少女が立っていても居酒屋や砂丘よりはずっと違和感がないかもしれないとも。
 どこの誰かもわからない、もちろん名前や年齢その他一切の情報もない、何かのふれあいがあったわけでもない、面差しさえ横顔しか知らない、そんなひとりの少女がいつのまにか彼の脳裏にまとわりついている。
 白壁の町をひとわたり巡り、町歩き地図の端っこにあった打吹公園を彼は目指した。
 観光名所である土蔵群でさえ人影が多かったとは言えないのに、町外れの公園に人がいるはずもなかった。園内を歩けば緑が深く、懐も深い公園だったので彼は気持ちを和ませていたが、林道を抜けて少し開けたスペースに、地面を掘り下げ、コンクリートで周囲を固めた猿山があり、その猿山を、セーラー服の少女が見下ろしていた。ふぅ。

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、
実在のものとは一切無関係です。】

おめでとう、心から

今日は下の娘、サッペの誕生日。
なんともう、〇歳(一応伏せておく)になったんだねぇ。

エイリアンサッペと呼んでいた、
(保育園のときは年長の男の子ばっかり襲撃していた)
とんでもなくやんちゃだったサッペも
いいお母さんになった。

親バカながら、
サッペはいつもいつもがんばっていて、
ろくでもない父親を大切に思ってくれている。

だからそーこーもいい子に育ってる。

便利な世の中で、
誰よりも早くお祝いの言葉を届けたかったから、
長い手紙をサッペに書き送った。

ぼくのところに生まれてきてくれたありがとう。
あなたがいてくれるからぼくは幸せです。

淋しい生き物たち-少女の欲しかった日 第5話

 乗り込んだ列車を浜坂で捨て、次の列車に乗り換える。40分ほど待ち時間があったので改札の外に出た。浜坂の駅前は降り出した雨に煙っていたが、それはチャーミングと言ってもいいほど小さかった。
 気温が下がっている。寒かったので早めに乗り継ぎの列車がホームに入ってきてくれたのはありがたかった。ボックス席を占領し、前の座席に脚を投げ出しても気遣う必要のない車両は10分ほど待つと走り始め、彼は雨の車窓を眺めながら西へ走った。
 鳥取駅前は香住や浜坂とは比べるべくもなく立派だったが、人影はやはり疎らだったので、スズメが駅ビルの玄関前やロータリーの植え込みで臆することなく遊んでいる。あまり見かけない風景だなと彼は思った。自宅のベランダに餌をまいてスズメを呼び集めるのが好きだったので、スズメには少しばかり思い入れがあったのだ。
 雨模様の空を見上げ、荷物から合羽を出して羽織った。砂丘に行くのをやめようかとも考えたが、他にすることも思いつかなかったので砂丘行きのバス停に向かった。
 幸いバス便はすぐにあり、数少ない客を乗せたバスは目抜き通りを走り、市街地を抜けて砂丘を目指す。目抜き通りはかつて訪ねたどこかの町のそれとよく似ていた。松山だったか姫路だったか、記憶を探るが思い出せない。大体地方都市の駅前本通りなどもうどこでも似たり寄ったりになってしまったのかもしれない。20分ほどで砂丘会館に到着した。ほとんど雨は上がっていた。
 砂丘には何十年ぶりだったろうか。道路を横切ってウッドデッキの通路を上り、砂丘に出てみると、それは彼の記憶の中のイメージよりもずっと大きかった。あいにくグレイトーンに沈んでいたが、その広大さは少なくともこの国の中では十分見るに値する。一望する砂の山脈に、けれども見物客は数えられるほどしかいなかった。50人もいただろうか。キャンバスが広すぎるだけに、それは大きな牛にたかる疎らなハエのように見える。季節も天候も砂丘見物に最適の日というわけではなかったのだろう。
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 そのハエたちの乏しい群れに彼も加わった。天辺まで登って灰色の日本海を眺め、西の方になるのだろうか、砂にしがみつくように丈の低い緑地が帯のように伸びているのを発見して近づいてみると砂地から染み出した水がささやかな流れを作っており、その流れに寄りそうように草が繁茂しているのだった。一角がロープで大きく長方形に囲われていて、そこはエリザハンミョウという希少昆虫の繁殖地らしく、立ち入り禁止になっている。子どものころ昆虫が大好きだった彼はハンミョウという甲虫をよく知っていた。標本にしたこともあった。カワラハンミョウ、ニワハンミョウといった地味な色目の種類もいるのだが、七宝が金属光沢を宿したようなナミハンミョウの美しさが、翅の美しさでは知名度の高いタマムシよりも彼は好きだった。エリザハンミョウというのは聞いたことがなかったが、名前からしても美しそうだと思った。あとで調べてみて地味な方のハンミョウだったとわかったのだが、いずれにしてもロープの周囲を回りながら慎重に見渡してみてもエリザの姿を見つけることはできなかった。
 西端から砂丘の全貌を眺めてみると、少し向こうの砂の上に奇妙な形の木台がいくつか設けられていた。近づいてみてすぐにラクダに乗るための設備だと気づいたが、シーズンオフということなのか雨空のせいなのかラクダの姿はどこにもない。しかし彼は、その木台の少し先に別のものを見つけて目を見張らなければならなかった。少し距離はあったが、木台の向こうをセーラー服の少女が歩いていたからだ。
 餘部のときと同じように、少女は彼に背を向けて彼から遠ざかっていたので、あのカウンターの少女なのかどうか不確かではあったけれど、やはり制服や体つきからそれらしくも思われた。
 華奢な、あるいははかなげな後ろ姿を見つめながら、彼は思わず溜息をついていた。餘部の集落の道になら溶け込むことができても、この観光砂漠に、団体でならともかくセーラー服の少女がひとりで溶け込めるはずもない。それは香住の居酒屋と同じように、あまりにも訝しい光景だった。それに餘部の集落ならまだしも、どんな事情があって少女がひとり香住から鳥取まで移動してくるというのか? まるで自分の行程を追いかけでもするかのように・・・・。
 ありえない。あまりにも話がおかしい。自分は何かに憑かれでもしたと言うのか。彼は少女から視線を切り、振り払うように背を向ける。何かの思い過ごしか奇妙な偶然か。いや、どちらでもないはずだが、それなら他にどう説明をつけろと言うのだ?
 彼のささやかな長年の夢を叶えた旅は、どうやら一筋縄ではいかないものになりそうだった。やれやれ・・・・。      

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、実在のものとは一切無関係です。】

ショック!

4月初めにマスク2枚の配布が決まり、
政権はビシャ叩きにあった。

4月3日にぼくは、
伝聞情報でありながら確認もせず、
そのマスクが総理の膝元である
「山口でつくられてるんだって」と書いた。

でも、そんな事実はなかった。

信頼できる友人筋からの情報だったので、
鵜呑みにしてしまった。
美味しい話にとびついてしまった。

まさか自分が、
唾棄すべきフェイクニュースを流してしまうなんて。
もちろん友人に責任はない。
すべてぼくの責任です。

訂正してお詫びします。

ごめんなさい!

淋しい生き物たち-少女の欲しかった日 第4話

 昨夜は本当に静かだった。夜中にはこの季節なのにかなり冷え込んだので布団にくるまった。7時前に目が覚めてしまったので、彼はもう少し眠りたかったが起き出してパソコンに向かい、今日の予定を検討した。そうしながらコンビニのおにぎりを半ば義務的に食べ、部屋と荷物を片づけてから、宿を出た。先代であろう老夫婦と、それに期待通り、3歳のマヤちゃんも愛嬌たっぷりに登場し、彼を玄関の外まで丁重に見送った。午後は若夫婦、朝は老夫婦という役割分担になっているらしく、若い夫婦は姿を見せなかった。でもマヤちゃんは出ずっぱりなのだ。初日の宿は悪くなかったなと彼は思った。
 昨日からは一転どんよりと重い空の下を彼は歩いた。香住駅からまたくすんだオレンジの古い列車に乗り、ふた駅めの餘部(あまるべ)で降りた。この山あいにかかる約300メートル、高さ40メートル余りの、海と集落を望む鉄橋が昔から鉄道マニアの間では人気だったそうだが、餘部の地名を一気に広めたのは、皮肉なことに30年ほど前に起きた列車事故だった。強風に煽られ、鉄橋から車両が落下するという事故が起こったのだ。彼が餘部の地名を知ったのもそのときのことだった。
 その後古い鉄橋は閉鎖され、新しい橋梁が開通した。旧鉄路や橋脚は今も一部保存され、間近に眺めたり体感したりできるようになっている。なかなか凝った展望デッキなども作られて、空の駅という新しい観光スポットになっていた。十数名の観光客に交じってデッキに立ち、小さな集落と小さな内湾を眺めている彼を、暴れれば車両さえ吹き落としてしまう海風が今は心地よく撫でて通った。
 駅と集落の落差40メートルを行き来するエレベーターも設置されていたが、遊歩道のような林道の方が魅力的だったので、彼は腕時計を見ながらその道を集落に向かって下りて行った。木立の向こうには静かに眠っているような家並みが垣間見える。何を考えることもなくそんな光景を眺めながら歩いていた彼の眼が、次の瞬間、ある一点に釘づけになった。
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 え?!
 集落を縫う細い道の上にセーラー服姿の少女が見えたからだ。
 あれは昨夜のあの少女じゃないのか? 遠目では確かなことはわからなかったが、セーラー服の色柄や体つきがあの少女のように見えた。彼は一瞬得体の知れない高揚を感じたが、それほど驚くことではないのかもしれないと思い直した。昨夜彼女と出会った町は、1時間に1本という長閑なものではあったけれど、ここから電車でふた駅しか離れていないのだ。少女が香住に住んでいて今日は餘部に用事ができたという可能性も、彼女が餘部に暮らしていて昨夜は香住に出かけていたというストーリーも十分に考えることができた。それに、限られた地域の中には同じ制服を着た少女もたくさんいるだろう。
 少女は身を寄せ合うように建っている民家の間を、所在なさそうな後ろ姿で海に向かって歩いていた。彼からは遠ざかっている。彼は無意識のうちに歩みを速め、下り坂を急ぎながら少女の後ろ姿を追っていたが、ふと足を止めて苦々しく笑った。ストーカーという言葉が頭に浮かんだからだ。
 おいおい、少女を追いかけてどうするつもりだ。追いついたとして、もしもあの少女がカウンターの少女だったとしても、かける言葉が思い浮かばないのは昨夜と同じことじゃないか。彼女は昨夜、自分に一度も目を向けなかった。ずっと「監視」していたわけではなかったが、向けなかったと思う。彼女の中に自分の姿は刷り込まれていないのだ。そんな彼女に「あのぅ、昨日の夜、居酒屋であなたを見かけたんですけど」とでも? それからどうする? それでどうなる? 何よりそれはストーカーや不審者と勘違いされても全く文句の言えない行為ではないか。
 彼は腕時計を見た。そろそろ駅に戻らなければ次の電車を失う。別に急ぐ旅ではなかったし、計画と呼べるほどのものがあったわけでもなかったけれど、今日はこのあと、鳥取砂丘に寄ってから倉吉で投宿しようかとぼんやり考えていた。そのあやふやな計画に固執する必要は全くなかったが、遠目に見える朧げな少女に固執する必然性はもっとなかった。
 あぶないあぶない、ロリコンやストーキングなんてありえない、もう一度自分の心の動きを嘲りながら林道を上り、駅に戻ったところで無人駅のスピーカーから唐突にアナウンスが流れた。何かの都合で次の列車は7分遅れて到着すると言う。早く言ってくれよ。それならもう少し彼女に近づくことができたかもしれないのに。反射的にそう思ってから、もう一度彼は自分を嗤わなければならなかった。
 それでも懲りずに、視野にすっぽりと収まってしまう小さな集落の民家のどれかひとつが、もう姿が見えなくなってしまった少女の暮らす家なのだろうかとぼんやり考えたりしていた。

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、実在のものとは一切無関係です。】

初オンライン

バレンタインのお返しにと、
ホワイトデイに三姉妹一家と飲んで以来、
外で飲んでいない。

今日はぴがしと久々に飲んだ。

って、流行りのオンライン飲み。

グアテマラいたメグとした覚えはあるけど、
近くに住んでる人とは、初だね。

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ブログにアップするからって、
ふたりとも変装してるけど、
それは撮影用で、一瞬だけ。
1時間以上、わちゃわちゃ喋ってた。

思えばこの間、
いろんな人と文字でしゃべることはあったけど、
カッペ以外と長い時間言葉を交わすことってなかったな。

だから結構おもろかったけど、

けどさ、
やっぱり何かね。
人と人とのぬくもりがディスプレイじゃ伝わらないよね。

たまにはいいけど、
離れている人とならいいけど、
「今日は楽しかったぁ!」ってことにはならない。
満たされないよぉ。

結果、
ぴがしは近日中に長居公園まで来ることになった。
距離を置いて真ん中におつまみ置いて飲もうって。

それもどうかと思うけど、
若い彼は
「俺と飲んで河童が死んだら気分悪いやろ」って、
ぼくはそれでも別に構わんが、
死なれた方は確かに気分も悪かろう。

ま、どんな形にしても、
青空の下で久々の対人飲み、
楽しみにしてるさぁ!


淋しい生き物たち - 少女が欲しかった日 第3話

 少女は動かなかった。彼は海鮮丼と地酒を頼んで夕餉にするが、自分の視線を気にしながらも、つい少女に目が行ってしまうのを止めることができなかった。
 カウンターの中の老夫婦に語り掛けてみたが、どちらも丁寧な受け答えながらやたらに口が重かったので、話し込んで長居をすることにはならなかった。とは言え、少なくとも数十分の間、少女は全くと言っていいほど動かなかった。本気でマネキンか何かかと疑ってしまうほどに動かなかった。
 近頃は趣味がいいかどうかは別にして、等身大の萌えキャラのパネルを据える店があったりもするが、目の前の老夫婦がその類のあざとい客寄せを思いつくとは考えにくかったし、何より、少女の肩や胸は呼吸に合わせて微かに緩やかに波打っていた。
 この子は一体ここで何をしているのだろう。彼の中の好奇心は高まるばかりで、椅子3つ分を隔てた距離しかなかったので声をかけることができないわけではなかったけれど、世界中の誰ともコンタクトしていないような風情の少女に一体何をどう語り掛ければいいのか、考えても彼にはうまく言葉を捻り出すことができなかった。丼もつけ合わせの鉢も味噌汁の椀も酒の二合瓶も空になり、もう少し飲みながら粘って少女の動向を探ってみようかと考えたりもしたが、それでは自分がまるでロリータ趣味の中年男みたいではないかと気づいて思い留まった。
 勘定を済ませ、少なからず後ろ髪を引かれながら、セーラー服の華奢な背中にもう一度視線を振ってから店を出た。夕闇迫る香住の町を、蛙の盛大なシンフォニーを聞きながら歩き、コンビニで明日の朝食と今夜の酒を買ってから宿に戻った。
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 玄関をくぐると小さな少女が犬ころのようにバタバタ走ってきて彼を出迎えた。
「おいくつですか?」と訊くと、彼女は嬉しそうに短い指を三本立てた。若い女性が奥から慌てて飛び出して来て、「申し訳ありません」と幼女を抱き寄せたが、彼は特段何の迷惑も被ってはいなかった。幼女はカウンターの少女と違って愛嬌に溢れていた。若い母親に捕捉されながらぎこちない仕種で手をピストルの形にし、その形を目で一度確かめてから彼に向けて弾を放った。彼が胸を押さえて顔をしかめると、幼女は鈴入りのビーチボールを振り回したような声で笑う。カウンターの少女と違ってこちらの少女には屈託がなかった。
 部屋に戻り、彼は延べられた寝具を座布団代わりにして座卓の前に座った。パソコンを開いて携帯をルーターにし、ネットにつながって明日のプランを立て始めたが、セーラー服の少女の横顔が割り込んで来て彼の集中を搔き乱す。彼はひとつ溜息をつき、明日の列車の時刻だけを確認してパソコンを閉じた。残った酒を呷って床に就いたが、もちろん目を閉じても、閉じれば余計に、少女が今度は睡眠の邪魔をする。元々不眠に悩まされている彼は、荷物から眠剤を取り出した。
 初日から奇妙な「出会い」をしてしまったものだが、とにかく、彼の帰る日の決まっていない旅はこんな風に始まったのだった。          

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、
実在のものとは一切無関係です。】

淋しい生き物たち - 少女の欲しかった日 第2話

      〇      〇      〇
 
 彼は大抵の人よりもずいぶん早くに仕事を辞めた。仕事が辛かったわけではない。むしろ楽しく感じることさえあったのだが、死ぬまでとは言えないまでもそれに近いくらいは、贅沢さえしなければ生きていけるだけの私財ができたとき、もう彼には働く気力がなくなっていた。元々物欲は薄い方だったし、怠惰と言うのとは少し違ったかもしれないが、何もしないでいることが好きだったのだ。何にも縛られたくないという方が近かったかもしれない。
 仕事を辞め、1日の時間を全て自分のものにし、予定表が早朝のゲレンデのように真っ白であることに、彼は喜びを覚えた。小さな水槽の中からいきなり大海に放たれたような不安を多少は感じることもあったが、音楽を聴き、本を読み、いくつかの楽器やパソコンをさわっていれば足りないものはなかった。1日が長すぎることなどなかった。肩は凝らなくなった。胃は痛まなくなった。
 仕事を辞めて数か月が経ち、人々の服地が薄くなり、袖が短くなり始めると、彼は旅に出ようと思った。帰る日の決まっていない旅をしてみたい、それが彼の長い間のささやかな夢だったのだ。それが1週間でも1年でも構わなかったけれど、とにかく帰る日の決まっていない旅をしてみたかった。仕事をしているときには絶対に不可能なことだったからだ。けれどもドラマや映画、小説やノンフィクションの中にも、いや実社会の中にだってそんな旅をしているヤツはいくらでもいるではないか。どんなささやかな形でもいいから、彼もその中に加わってみたかった。
 どこへ行きたいという希望があったわけではなく、潤沢な資金があったわけでもない。若いころには拙い英語でいくつかの外国をひとり放浪したこともあったが、もうそんな冒険心も擦り減っていた。外国は選択肢に入らない。
 どこでもいいからたださすらってみたいと思った。彼は旅と言うより単に流れることに憧れていたのかもしれない。昔からロードムービーが好きだった。
 彼のことを気にかける人が全くいないわけではなかったが、数少ないそういう人たちは、彼が勝手に仕事を辞めようが、勝手に旅に出ようが、元々あいつはそういうヤツなのだと納得するような人たちだった。
 準備にはさして時間もかからなかった。少しの着替えと洗面具とノートパソコンがあればそれでよかった。もちろん、宿や切符の手配などすることもなく、彼はそろそろ夏が訪れるという頃、デイパックを背負って家を出た。東へ北へ向かうか、西へ南へ向かうかはターミナルに着くまでに決めた。それがどこまでになるのか自分でも想像はできなかったが、寒いのが好きではなかったので、西へ、南へ向かってみようと思った。時間だけは潤沢にある。特急券は使わないことに決めた。
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 何本かの列車を乗り継いで、京都までやって来た。京都駅からさらに乗り継ごうと山陰線に乗ったとき、そこが山陰線の起点であることは知っていたので、彼はふと、山陰線の各停で下関まで走破するのも面白いなと思った。けれどもそこまでにどれほどの時間がかかるのか、そして自分がどこまで旅を続けるのかもよくわからなかったので、とりあえず当面、山陰線をキープすることだけはプランとして設定した。
 もう都会では見かけなくなった、くすんだオレンジ色の、一両編成の古い列車に揺られながら、彼が兵庫県の香住に着いたのは夕方早くのことだった。
 冬場はカニで賑わう町なのだろうが、まだ海水浴にも少し早いこの季節、観光客の姿はない。駅の観光案内所の女性スタッフも暇を持て余していたのかとても丁寧な応対で、安い民宿を所望するとリストのようなものを取り出し、受話器を耳に当てながら素泊まりでいいかと訊いてから彼の予約をとった。まるで彩りのない箱庭みたいな駅前には店らしい店もなく、夕食にありつけるのかどうか少々不安になったが、ひなびた佇まいは旅に出たという感慨に浸るのには打ってつけで、彼は気分よく案内所で教えられた宿への道を歩き始めた。
 宿は古びた小さな旅館で、気のよさそうな30代後半くらいの男が彼を出迎えた。どうやら代替わりしたての主人のようで、これでもカニのシーズンには満員になるのだと言い訳のようなことを言って笑った。今日の客は彼だけらしい。靴箱には宿のサンダルが並んでいるだけだった。
 小さな座卓ひとつの、かなり年季の入った八畳間に彼はデイパックを降ろした。自分が旅路にあることを実感する。親切な主人から付近図を受け取り、お薦めの店に印を入れてもらってから宿を出た。
 無人の海水浴場を散歩したあと町中に戻り、地元民が集まるという居酒屋に行ってみると閉まっていたので、香住で上がった魚を食べさせるという居酒屋ののれんをくぐった。
 そこで彼はカウンターに座った少女と遭遇することになる。

【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、実在のものとは一切無関係です。】

淋しい生き物たち - 少女の欲しかった日 第1話

    淋しい生き物たち ― 少女の欲しかった日


【作中に登場する人物、地名、団体等にモデルはありますが、
実在のものとは一切無関係です。】

「16年より重くて大切な1日だってあるんだよ」と玻璃は言った。
 あのときのぼくはそれを理解することができなかった。16年と引き換えにしてまで欲しい1日があるということをどうしても理解することができなかった。
 けれどもその玻璃の選択を、今は少し理解できるようになったかもしれない。時の長さや金銭の多寡、記憶や思い出やプライドや価値観・・・・。そんなことよりただの一瞬だけでも真の姿に出会うこと、その方が大切だということもあるのかもしれない。
 目に見える尺度よりも、手に感じる重さよりも、夢を見る幸福よりも、普遍的で動かしがたい到達点がある。失う勇気がなければそこに辿り着くことはできない。
 もしもそれがひとつの真理であるとするならば、それをぼくに教えてくれたのは玻璃だ。
 
      〇      〇      〇

 ぼくが店ののれんをくぐると、正面にあるカウンターの端っこにひとりの少女が座っていた。それは何とも不思議な構図だった。
 彼女の前には料理も湯呑も何も置かれていない。カウンターには他に客はいなかったけれど、テーブル席や小上がりの座敷にはそこそこの客がおり、さざめきながら酒を飲んでいる。どこにでもあるようなその居酒屋の光景の中で彼女は、まるで流れの速い海の中にグランドピアノが置いてあるみたいに場違いだった。
 この店の娘、いや、カウンターの中の老夫婦の年恰好から言えば孫なのだろうか。そう考えるのが何より妥当だと思えたけれど、何かが違う。    
    IMG_8621.png 
もし老夫婦の孫だとするなら、手仕事の合間に声くらいかけるものだろうし、その老夫婦がとても寡黙なタチだったとしても、少女との間に目には見えなくても何がしか感情のつながりのようなものが感じられるはずだ。けれども少女は、ただそこにいるだけだった。老夫婦はおろか世界中のどんな人とも一切関りを持たないような風情を漂わせながら、ただ座っていた。老夫婦の方の視界にも少女は入っていないように見えた。
 制服なのだろう。少女は夏物のセーラー服を着ている。襟は紺に白いライン、胸元に赤いネクタイが結ばれていた。中学1、2年といったところだろうか、艶やかな髪が肩の下まで伸びていて、その横顔は美しかった。幼い少女に好奇の目を向けるような趣味はなかったけれど、ついつい見とれてしまうほど、少女の横顔は美しかった。思わず写真を撮りたいと思った。正面からの顔を見てみたいとも思った。
 けれども少女は白木のカウンターの上で軽く手を組んだまま、よくできた人形のように全く動くことがなかった。

      

えーい!

連載希望、配信希望、
全国からどっと、
また数通いただきましたので、
勇気ある配信希望者には送らせていただきました。

恥ずかしながら連載ブログ小説も、
やらかしちゃいます!

自宅軟禁状態で時間を持て余している方は、
よかったらおつきあいくださいませ。

連載終了前に、
平和な日常生活が戻ってくることを祈りつつ。

反省しても後悔しない

じーちゃんがろくでもない小説を書いている間に、
ばーちゃんは実のあることをする。

お手製マスクがプリンちゃんに届いたようだ。

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てんちゃんにはお手製兜。
かわいいねぇ。

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じーちゃんもアホなことしてんと、
少しは人の役に立つことを考えなければいけない。

反省しよう。

第00話 完成披露試写会のおしらせ?

筋トレと同じく、
3月半ばから部屋にこもって書き始めた小説を、
何とか書き終えることができました。

『淋しい生き物たち - 少女の欲しかった日』

670枚。

って、ほとんどの方には無意味情報だろうけど、
この間、楽しみにいているというメールもいただいたし、
早く連続ブログ小説を初めてくれという声もいただきました。
数名の方から。

ド素人の自慰的な行為でしかありません。
自分で読み返しても首を傾げざるを得ない。

でも、皆様からの大きな(?)声に励まされ、
やっちゃおうかな?
連載ブログ小説。

なお、お望みの方には、
全文をメール添付で配信させていただきます。

ただし、
何分、長いもんで、
本人でさえ読み返して推敲するのに飽きてしまった代物です。

全文ご希望の方には、
誤字脱字や矛盾点、加除の必要な部分や欠陥、その他に、
思い切り突っ込みを入れながら推敲していただく、
編集者や校閲者のような任務を負っていただくことになります。

おまけに時間を惜しげもなくドブに捨てていただくことになる。

もしそれでも構わないという奇特な方がおられましたら、
ご一報ください。

くれぐれもお薦めはしませんので、
あくまで流行りの「自己責任」で。

結果にコミット中

自堕落な生活の結果、
お腹周りに付着した脂肪があまりにもみにくくなったので、
3月初めから心を入れ替え、
筋トレやストレッチを再開して1か月余り。

ちょっと筋肉つきましたぁ。
お腹も少し割れましたぁ。
身体も柔らかくなりましたぁ。

3キロ落ちましたぁ。

あと1、2キロは落としたいけど。
まだお腹の贅肉はしつこく留まってるけど。

でも、毎日体重計に乗るのが楽しみだ。
やっぱり結果にコミットしなくちゃねぇ。

って、最近見なくなったな。

いつ?

ここ何日か、
天気もよくなかったし完全に家にこもってた。

あたりまえだけど
もう長居公園の桜もすっかり終わってた。

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一時再開してた植物園もまた。
こんな状況じゃしょうがないよねぇ。

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春になったら、
多くの人もぼくもそう思ってたけど、
そうじゃなかったね。

夏になったら?

秋になったら?

来年になったら?

ワクチンができるまで待つしかなさそうだね。

マスクに思う

貧しかったからだろうか、
ぼくが小学校の低学年だったころ、
母がガーゼとゴム紐で作ったマスクを
学校に着けて行った記憶がある。

そんな記憶が残ってるってことは、
誰でもがそんなマスクをしていたわけではなく、
手製マスクが恥ずかしかったからだろうか?

今はどこやらの総理や副総理のような、
よっぽどの金持ちはどうか知らないけど、
みんながマスク不足に頭を悩ましている。

娘たちの家でも
子どもたち用のマスクの在庫が乏しくなってきたようで、
そんなときじーちゃんには何の芸もないが、
ばーちゃんは懸命にがんばる。

孫たちの産着とかガーゼタオルとか、
そんなのでマスクを作った。

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ぼくの母が作ったものとは比べ物にならないほど上等で、
これならそーこーもプリンちゃんも恥ずかしくはないよねぇ。

でも、ゴム紐も今は手に入らないんだってね。
大変な世の中だ。

そして、
いろいろ考えさせられる世の中だ。

先に書いたけど、
コロナウィルスはいろんなものを覆い隠し、
逆にいろんなことをあぶりだしているのかもしれないな。

八重山でも

「沖縄の離島 初の感染
 八重山でコロナ2人陽性」

そんな見出しにビクッとしたけど、
石垣島で感染者が出たんだってね。

ぼくたち八重山好きの感覚では多分、
石垣島は離島じゃないから。

もちろん詳しい事情なんてわからないけど、
どんなルートなんだろう?

鳩間や他の離島にも、
とうとう忍び寄ってきたんだなぁ。

都会ではどうしようもない部分もあるけど、
長閑な島々に感染が拡がらないように、
心から祈ります。

プリンライン

夜にはときどき「山口、枚方」と三元中継するんだけど、
珍しくプリンちゃんがお昼間に、
ライン電話で呼んでくれた。

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「おじーちゃんがきっとさびしがってるよ。
 ずっといっしょにくらしたいっていってたから」

と、
お母さんに電話をせがんだのだそうだ。

確かに、もう2週間も会ってない。

28日にはてんちゃんの検診があってこっちにくることになってたけど、
その病院で感染者が出たらしく、
多分、延期になるんじゃないかなぁ?

当分、やわらかいかたまりを抱きしめることはできないかも。

だから、ありがとう。
やさしいね。

「プリンちゃんは(在宅仕事で)お父さんが家にいるから、
 寂しくないでしょ?」
「うーん、でもいやなんだ」
「何がいやなの?」
「おおさかのおうちのほうがいいから」

残念ながらおじーちゃんがいるからではない。
大阪のおうちの方が広いし、
飛び跳ねても暴れ回っても
階下のお宅に迷惑がかかることがないからだ。

「じゃ、こっちにおいでよ!」

と、これは、
横にいるお母さんに聞こえるように言った。

お母さんだって、
来られるものならいつでも来たいんだろうけどね。

ま、今日は思い出してくれただけで満足です!

二次災害

沖縄では次から次へと
米軍関係のトラブルが起こっている。

全国紙では全く知ることができない。

コロナのせいなのか、
そうじゃなくても報道されないのか。

でも、コロナのせいで、
報じられるべきことがいっぱい抹消されてるんじゃないかな?

マスコミだけじゃない、
ぼくたちも考えるべきことをいっぱい忘れてるんじゃないかな?

それって二次災害。

見失わないようにしたい。
見失わないようにしてほしい。

今、盛りなり

少しずつ、少しずつ、
つぼみをふくらませてきたセイロンベンケイソウ。

やっと満開かな。

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ありがとう。
鳩間島を思い出す。

来年もよろしくね。

ひたひた

コロナのことはあんまり書きたくないんだけど・・・・。

こんな回覧板が回ってきた。

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近くで感染者が出たって噂はあったらしいけど、
デマだと「捨象」してた。

山口のサッペの家にほど近い、
県庁の職員にも出たのだそうだ。

プリンちゃんのおうちの町内でも。

28日にてんちゃんが検診を受ける予定の、
母子センターでも感染者が確認されて、
さてどうなるかどうするか・・・・。

ひたひたと忍び寄る影がもうそこまで。

相変わらず隠遁者は不謹慎にも気楽だけれど、
孫たちのことは気にかかる。


聖徳太子が建立した四天王寺さんと言えば
うちから一番近い重要文化財だと思うけど、
先日から閉鎖されている。

日本書紀にも記されている、
6世紀末の建立開始以来初めてのことだそうだ。

14世紀の黒死病も新聞記事に登場するようになった。

正に歴史的な災禍となってしまった。

想像もしてなかったな、2か月前には。

2か月後には、
想像もしてなかった終息宣言が出ていますように。

壁は高くて厚くとも

そーこーが地元のJ2レノファ山口の
アカデミー選手コースの一次選考にそろって合格した。

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一生懸命サッカー少年やってるから、
うれしいよね。

二次選考はとっても高い壁だそうだけど。

ぼくは何かに懸命に打ち込むということが苦手と言うか、
努力や忍耐ができないと言うか、
こんな風に何かにチャレンジした経験がないから、
まだ小さいのにえらいなと思う。

喜びの涙も悔し泣きも、
いっぱい経験したらきっと大きな糧になるね。

とりあえず二次選考、
どんなに高い壁かぼくにはわからないけど、
思いっきりぶつかりな。

できたらお父さんと同じ野球の道を歩んでほしかったけど、
そんなことはどっちでもいいことだね。

一歩一歩、
ゆっくり大きくなって行け!

寂聴さん

毎日、新聞を開くのが憂鬱だ。
何か心がピンと跳ねるような記事はないのか?

瀬戸内寂聴さんのコラムがあった。

テレビで活躍していたころの寂聴さんにいい印象はもってなかったけど、
このコラムで生臭尼ぶりを知ったと言うか、
人となりを窺うことができてから、
欠かさず読んでいる。

残念ながら寂聴さんのコラムもコロナから始まってたけど。

来月には98歳だって。

ぼくの34年後!

そんな歳まで生きられるわけもないし、
もし生きてたとしても、
人様に判読してもらえるような文章など書けるとは思えない。

これが文筆家なのかなといつも思ってきたけど、
今日のコラムを読んで、
ん?と思った。

失礼なので詳細は省くが、
もっと失礼なことを言うと、
そろそろかなと。

そうでないことをお祈りするが、
もしぼくなんかの直感が当たってしまったとしても、
直前まで書き続けてこられたことは偉業と言うしかない。

ご本人は早く逝きたいと思っておられるようだけど、
心から、
ご健勝をお祈りする。

まだまだ楽しませてくださいな。

スズメもか?

繁華街はどこもガラーンとしてるらしい。
仕方のないころだろうけど。

でも、まさか、
スズメたちも密集、密接を自粛してるんじゃないだろうね。

やってくるスズメの数が増えて増えて、
一時は40羽近くになっていたと思う。

それがここのところずっと、

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こんな状態。

せいぜい5羽くらいしかやってこない。

どうなっちゃったんだろうね。
ねぇ、
人間の真似しなくてもいいんだよ!

作者渾身の超駄作

3月15日から書き始めた小説を、
昨日、とりあえず書き終えた。

原稿用紙にして650枚余り。
ぼくにしたらすごいペースだったな。

早速読み返し始める。

おわあ・・・・。

メッチャおもろい!

じゃなくて、

メッチャおもんない!

ひたすらダラダラと駄文が続く。

書いた本人が読んでも全くおもしろくないんだから、
もし読んでくれる人があったとしても、
これじゃ10枚も行かないうちに放り出されるわな。

500枚くらいまでそぎ落としたら、
少しは読めるようになるんだろうか?

ともあれ、
連載ブログ小説なんて企画は完全にぶっ倒れ。

もの好きな人にだけ、
こっそり配信しようか・・・・。

ま、書いてる間は近年にないほど熱中できて、
お金も使わずにすごく楽しかったからそれでいいや。

と、才能のかけらもない自分を慰める。
よしよし、よく頑張って書いたね。
えらかったよ。

あははは・・・・。

ひとりひとり

とうとう緊急事態宣言かぁ。
まぁ、隠遁生活者には今さら何の影響もないんだけど、
こんな言葉を聞いただけで気持ちが滅入るよね。

あ、床屋もダメって?
4か月近く行ってないし、そろそろ切ろうと思ってたんだ。

でも長居公園の外周道路では久々に、
走ってる人たちを見た。

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ぼくは走る人たちとは逆向きに1周歩くので、
ジョガーの数を数えられる。
合わせてたった十数名だったけどホッとした。

大阪では入学式も中止。

でも、ランドセル姿の子どもがちらほら目に付いた。
どこか私学の入学式だろうか?

ランドセルの双子を連れた若いご両親に
「おめでとうございます」と声をかけてみた。
「どちらの学校に?」

58年前、
ぼくも入学した地元の小学校だった。

「中止になってしまったんで、
 せめて記念撮影だけでもと思って」

そうか・・・・。

小学校の前も通ったけど、
もちろん、式の看板はない。
正門さえ開いていない。

ちゃんと迎えさせてあげたかったよね。

この騒ぎが子どもたちに及ぼした影響は、
精神面、学習面、その他いろんな面で、
とっても大きいだろうな。

東北地方などの高校生は
小学校の入学式、卒業式にもできなかったんだ。

バカな大人たちは
ゆとり世代ださとり世代だと
ろくでもないひとくくりが大好きだけど、
将来、
コロナ世代なんておぞましい言葉が生まれないことを祈る。



花はやがて散りゆくが

今日は桃が池公園の桜。

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おもしろいね。
長居公園はもう葉桜なのに、
1キロも離れていないここでは、

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まだ満開じゃないんだ。


緊急事態宣言が出るんだってね。

花開く春に、
町はまたしぼんでいく。

嘆息

もうずいぶん葉桜になってしまったのもあるけれど、
これは本日正に満開です!の桜。

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しばらくご無沙汰だった、
プリンちゃんの好きな、
シャープ池のカメさんも出てきたよ。

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春なのに。

毎日そんな思いと溜息しか出てこない。

こんなに素敵な春なのに。

GOGO高齢者

今日はお隣の幼稚園の入園式だったみたい。

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おめでとう。
でも部屋まで「君が代」が聞こえてきたけど、
昔はそんなのなかったよね?

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桜は早くも葉桜へ。

あら、植物園は開いてたんだ。
元々休園する必要なんか全くなかったと思うけどね。

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再開祝いに入ってみようかと思ったけど、
入園料をケチった。

来年からは無料になります。
動物園も無料になります。
人間ドックも。

早く65歳になりたいです。

お返事できたー!

お待たせしました。
プリンちゃん、入園式の画像です。

って、後ろからビデオ撮ってたみたいで、
苦労して何とか切り取った画像ですけど。

コロナのせいで入園式は保護者1名のみ参加可だったから、
父母で分業ができなかったのね。

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でも超人見知りのプリンちゃん、
心配してたけど、お名前呼ばれて、
ちゃんと手を上げてお返事できたぁ!

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お祝いもいただきました!

改めて、
プリンちゃんおめでとー!

せっかく幼稚園は楽しいってわかったのに、
明日から休園って悲しいねぇ。

それでも春は春

ピークかなと、
お気に入りのサクラスポットに行ってみた。
最後の職場の近く。

IMG_8573.jpg

今日、散り始めたみたい。
また花吹雪を見に来よう。

で、
本日、プリンちゃんの入園式。

制服イヤ、マスクイヤ!
アベキライ!(嘘)と、
ごねてたプリンちゃん、

出陣前。

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負け戦か?

でも幼稚園の遊具は気に入ったらしく・・・・

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鼻出てますが、
無事に入園式も終わったみたい。

プリンファンの皆さん、
入園式画像はカメラで撮ったから後で送るとのこと。
お待ちを。

今日は中高の入学式もあったようで、
町には制服姿とドレスアップ保護者の姿が
いっぱいあった。

みんなおめでとう!

って、明日から休園・休校。

大変な年の入園・入学になっちゃったけどさ、
ドンマイ、
その分、きっといいことが待っている!




あぁマスク2枚

こんなのを入手したと友人が送ってくれた。

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うまいよねぇ。
笑えるよねぇ。

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こんなのを作る人がいるんだから、
ぼくなんかのブログに人が来ないのは当たり前だわね。

でさ、
このマスク。
なんと山口の業者がつくってるんだって。

あの人の地元じゃん!

これも笑える。

お友だちを大切にするひとだからねぇ。
ま、自分を守るためならすぐ裏切っちゃうけどさ。

先が見えた・先が見えない

連載ブログ小説のこと書いたら、
早くも日本各地からドバーっと2通、
「楽しみにしている」メールをいただきました。

いやぁ、ありがたいと言うかピタリ読み通りと言うか。
でも、ホントにありがとうございます。
励みになります。

もう500枚を超えちゃいましたけど、
そろそろ終盤。

中身の出来はともかく、
結末まで書き終えることはできそうです。

特に2名の方、
待っててくださいねぇ。


話は変わるけど、
大阪の公立校は5月6日まで休校延長だって。
東京はもっと緊迫した状況みたいだし、
多分プロ野球もJリーグももう無理なんじゃないかな。

64年生きてきて、
阪神淡路、東日本の震災やいろんな災害も経験してきた。
比較することは失礼だけど、
こんな泥沼は初めてだ。

先に灯りが見えないって、
何が正しいのかの判断がつかないって、
こんなにしんどいことなんだね。

勿論、福島原発という先例があるんだけど、
あれは明らかな人災だからさ。

虚ろな桜

世間の空気を映したように、
近頃ずっと天気が悪い。

今日も花曇りだけど、
今日、明日がピークかな?

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いつもなら場所取りのシートがいっぱい並んでるのに、
花の下に人の姿はない。

IMG_8561 1

こんな看板がなかったらよかったのに。
元同僚たちと毎年この時期にBBQやってたのに。

IMG_8564 1

こんなに虚ろに見える桜は初めてかもしれないな。

 第0話 前振り

せっかくカテゴリを新設したのに、
空っぽってのも寂しいんで、

前振りだけでも書いておきましょうかね。
空手形に終わるかもしれないけれど。

タイトルは仮題ですが、
「淋しい生き物たち - 旅の少女」

ぼくの旅の経験をもとにして、
ロードムービー風に書いてます。

ロードムービーが好きな方、
旅が好きな方、
あるいは村上春樹や深沢七郎が好きな方、
現代文学やミステリーが好きな方・・・・

そういう方ならきっと間違いなく、
楽しむことはできませんので、
相手にしないのが賢いかと。


今、原稿用紙450枚ほどになってますが、
最終的には600枚くらいになるのかな?

それから推敲でばっさりそぎ落としていくとは思うけど、
結構長いです。

退屈と時間をドブに捨てるのが好きな方にのみ、
うってつけの小説と言えるでしょう。

ご期待くださ・・・・らないように。

連載ブログ小説

未曽有の経済危機に株価が暴落している。
ぼくの乏しい資産の評価額も暴落。

お金もないし、
外出自粛なんてのに唯々諾々と従うつもりはないけど、
元々引きこもりだし。

で、小説を書いてます。
昔はよく書いてたんだけど、
もちろん人に読んでもらえるような代物じゃありません。

でも、お金のかからない自己完結の趣味。

3月15日から書き始めて、
今、原稿用紙にすると450枚ほどになった。

いつ書きあがるのやら、
いや書きあがるのかどうかさえ怪しいけど、
もし書きあがったら配信しちゃおうかな?

もの好きな人が読んでくれるかな?
2人くらい。

というようなあやふやな話だけど、
とりあえず、
「連続ブログ小説」というカテゴリーは設置しといた。

河童の写真の下の、
「カテゴリ」欄の「連続ブログ小説」をクリックしてもらったら、
お読みいただけることにはなったけど、

もちろんまだ1話もアップはしてません。
果たして連載は始まるのか?

ま、始まろうと始まるまいと、
全く体制に影響はないんだけど。

悲しい春

4月になりましたね。

エイプリルフールじゃないけど、
それこそ嘘のような3月だった。

ホントは昨日、
そーこーやプリンてんと一緒に、
家族みんなで福井の恐竜博物館へ行ってたはずだった。

河童家恒例春の家族旅行、
計画したときにはまさかこんなことになるなんてね。

4月になったところで
元々ぼくみたいな隠遁者の何かが始まるわけじゃないけど、
社会全体も、
全然スタートする感じじゃないよね。

ちゃんと終われなかったしね。

ぼくなんかはいいけれど、
どれだけ不運に泣いた人がいたことか。

悲しい春。

こんなことウソだったんだよって、
誰か言ってくれないもんか。

ねぇ、春よ来い!

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